今回は実際に私たち一般トレーニーがどれぐらいの筋量増加を見込めるかについて考えてみました。
日本人トップの選手と比較するとその大きさに感動すらしてしまいますが、自分がそうなるのも夢ではありません!
”これから本気で筋肥大を目指していこう!” と思っていても闇雲にトレーニングを続けていたら目標が曖昧になってしまいますので、本記事を読んで大まかな将来設計の役に立ててください!
本記事は特に、
- 計画立てて筋トレを進めていきたい人
- 自分のポテンシャルや限界について知ってからトレーニングを始めたいと思う人
- ドラッグフリーで筋肥大を目指す人
向けの内容となっています!
それではいってみましょう!
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現実的な筋肥大の限界レベル

圧倒的な筋肉を持っている人たちは時として「化け物」・「怪物」と形容されることがあります。
本人からすると人間離れしてると評価されて嬉しいのだと思いますが、実際に私たちはどれだけ筋肉を増やすことが出来るのでしょうか?
どの程度が到達出来るレベルなのか、具体的な数字と共に考えてみます。
統計的に見ると、人間が自然に鍛えて得られる筋肉量にはある程度の限界値があると考えられており、その限界値は Maximum Muscular Potential や Maximum Lean Body Mass と呼ばれています。
成長期を終えた成人であれば骨格に変化が起きることはないため、身長や手首・足首の太さ、そして体脂肪率などを用いて最大の除脂肪体重を推定できるという理屈です。
そして、自身もドラッグフリーであるというCasey Butt氏は、この Maximum Lean Body Mass の推定式についての報告をしています。
↓メートル法に換算した計算ツールです。
この式を用いると、身長170㎝台の一般的な男性の場合、体脂肪率10%程度での最大の体重は80-90kg程と推定されます。
つまり、除脂肪体重で70kg台というのが限界の目安・現実的に考えた筋肥大の限界だと予想されます。
頑張って到達できそうな筋肥大レベルとは?
では、私たちに一番近く現実的に限界の目安とすることが出来そうな人たちではどうでしょう?
やはり限界まで筋肥大を追い詰めている人として考えられる人たちとはボディビル選手になるのではないでしょうか。
前回の記事でも触れたように遺伝的な要因もあるので、目安とするのは特に日本人ボディビルダーが良いでしょう。
しかし、プロ選手はドラッグフリーと言い切れなさそうなので今回の推定では除外します。
日本のボディビル競技連盟であるJBBFという団体に出ているアマチュア選手はドラッグフリーであると考えられるのでそちらから身長と体重を見てみます。
↓こちらが前回の記事です。まだ読んでない方は是非!
日本人トップの身長と体重で見ると…

日本人最高レベルに筋肥大を追い詰めた人たちを、アマチュアボディビルの大会に出ているトップ選手としてみると、Casey Butt氏の推定値は納得できるものだということが分かります。
日本ボディビル選手権を9連覇した鈴木雅選手は身長166㎝、体重は2018年度のコンテスト時に82kgでエントリーしていました。
体脂肪率が5%としたら除脂肪体重は約78kgです。
身長が低いことを考えるとかなりの筋量をもっているであろうことが分かりますし、9連覇した理由も分かる気がします。
そんな鈴木雅選手も学生時代に50kg台だったそうですので、単純計算で約30kgも筋肉を増やしていることが分かります。
また、2018年に同大会で準優勝・2019年の大会で優勝した若手のホープである横川尚隆選手は身長170㎝でコンテスト時は78kgでした。
同じく体脂肪率を5%とした場合、除脂肪体重は約74kgとなりますから彼も相当なものです。
2019年大会でのTOP5の選手を見てみると、身長の平均は167.4㎝で体重の平均は75.8kgでした。
体脂肪率を一律5%として見積もってみると平均除脂肪体重は72kgとなります。
筋肥大の限界としての妥当性
Casey Butt氏の推定式では変数次第で以上の値よりやや低めに出ますが概ね合っていると言えるのではないでしょうか?
興味深いことに、幅広いトレーニング歴(年)が見られるのにも関わらずこういった結果に落ち着いています。
筋量というのはトレーニング歴によって対数的な成長を見せることが示唆されており、トレーニング歴が長くなるほどに成長量は少なくなっていくと考えられています。
しかし、以上の値から単純にトレーニング歴で成長量が変化するということではなく、トレーニングの習熟度・既に獲得した筋肉量に関わっていることが考えられます。
ですからやはり筋肥大にはある程度の限界に近いものがあると捉えることが出来るかもしれません。
一般トレーニーが持つ筋肥大の可能性
もちろんこの推測は推定式の正確性に関わるものではありません。
大会に出ている人たちだけが全てとは言い切れませんし、一般の方の中にはもっと大きな筋肉量を持つ方もいるかもしれないからです。
そういった方がCasey Butt氏の推定式で求められた値より大きな筋量を持っている可能性もありますので、この値が超えられない限界値と決定付けるわけではありません。
逆の場合も考えられます。
先に述べたように、筋肥大には遺伝子の関わる要素も大きく影響するためトップ選手と私たち一般トレーニーでは差があってそんなレベルまでは到達できないだろうと思う方もいるかもしれません。
しかし、2018年度の全日本ボディビル選手権に出ている選手を見ると、20代に入ってからトレーニングを始めたという方も結構多いことが分かります。
運動経験の有無やどのようなスポーツ歴があるかは個別に詳しく知ることは出来ませんでしたが、その中で同じようなレベルまで少ない年数で到達出来ている選手もいました。
ですので、運動能力に自信がない人でも効率よく筋肥大を狙えば短期間で筋肉を大きくつけることも夢ではないと思います。
0から始める筋肥大の未来予想図

では最後に、筋トレ初心者が本気で筋肥大に取り組んだ場合の軌跡について具体的な数字を交えて予想してみます。
日本人の20代の平均身長・体重はそれぞれ171.9cm・65.4kgだと報告されています。
仮に体脂肪率を15%と仮定した場合、除脂肪体重は55.6kgです。
ここから限界に近いレベルまで筋量を増加させていきたいと思います。
平均的な日本人男性の筋肉成長モデル
まず、Alan Aragon氏が報告したモデルによって筋肉がどのように増加していくかについて考えてみます。
前項で少し触れた通り、筋肉の増加速度は筋肉が成長するにしたがって遅くなっていくことが報告されており、トレーニングを続けた年数に応じて最大でどの程度筋量が増加するか統計的に推測することができると考えられました。
それが以下の通りになります。


つまり、体重65.4kgからトレーニングを開始した場合、初めの1-2年は一ヶ月で約0.6-1.0kgずつ筋量を増やすことができる可能性があります。
この値はトレーニング経験を経るごとに増加量は減っていくということを示しているため、トレーニングをとても上手に行えていた場合・早く上達していった場合は成長率の度合いが早くに落ちていくことも予想されます。
しかし、それでも1年で約10kgの増加は理論上可能ではないかと思われます。
そして、仮に1年で初心者の域を逸し、2年目に筋増加量が中級者程度のものになったとしてもひと月で約0.3-0.7kg、つまり1年で更に3.6-8.4kgの筋量増加もあり得るということです。
机上論として増加量を最低の値、増加量の変化のスパンを1年と仮に置いた場合、3年間での筋増加量は以下のようになります。
以上のような条件下では3年間で16kgの筋肉量を得ることが出来ると予想されます。
平均的な日本人男子の予想最大筋量
では続いて、限界と思われる筋量について考えてみます。
最大筋量の推定にはCasey Butt氏の計算式を基にします。
Casey Butt氏の計算式 Maximum lean body mass (lb)= H ^ 1.5*(√W/22.6670+√A/17.0104)*(%bf/224+1) H=Height(inch):身長 W=Whlist(inch):手首囲 A=Ankle(inch):足首囲 %bf=Bodyfat(%):体脂肪率
手首・足首の周囲を平均としてそれぞれ17cm・21cmとすると予想最大体重は89.1kgとなり、除脂肪体重は75.7kgとなります。
つまり、日本人の一般男性は約20kg程度までならドラッグフリーで筋量を増やすことが出来る素質を持っている可能性が十分にあるということが分かります。
以上の予想増加量がそのまま継続されれば3-5年で最大筋量にまで到達することができそうです。
想像以上に時間がかかると思うか、夢があると思うかはあなた次第です!
実際に筋肥大を追い求めていく場合

もちろん増加率や増加量が一定なはずはありません。
仮にトレーニング・食事・睡眠を完璧なレベル・バランスで行えていたとしてどうなるかは人それぞれです。
ただ、この推定を使って “筋肉をあとどの程度増やすことが出来るのか・自分がどれほど発達している状態にあるのか” 、ある程度予想出来るというのはトレーニーとして嬉しいことではないでしょうか?
成長の目安として、伸び悩みの根拠として
実際に筋肥大を追い求めていく場合に、この推定値は大切な指標と成り得ます。
例えば、毎月体重と体脂肪率を追って除脂肪体重を求めることが出来ればどの程度筋肉がついているのか追っていくことが出来ます。
トレーニングを始めたころの記録が残っていれば、予想される最大筋量がどれほどであったか分かるため、その値と照らし合わせればどれくらいの成長率でどれほど進歩しているのかをある程度推測することが出来ます。
また、身体に変化を感じない場合に見直すべきものはトレーニング・食事・睡眠(休養)のレベルですが、ある一定期間での成長率を以上のようにしっかりと追っていくことが出来れば、変化を得られているか・得られていないかの根拠を得ることが出来ます。
単にその時の体重やトレーニングで扱う重量に振り回されたり気分でメニューや食事内容を変えたりするのではなく、自分の成長度合いを実際に見て何が原因か突き止めていくことが出来るということです。
まとめ
今回は本気で筋肥大を考えている人向けに私たちがどれだけ筋肉量を増やせるかについて考えてみました。
”限界を先に知ってしまっては面白くない” ”限界があると思ってトレーニングなんてしたくない”
と思う方もいるかもしれませんが、自分のトレーニングを見直すことが出来るという点では成長率を追うことなどは実際に取り入れてみてもいいことではないかなと思います!
また、本記事で用いたCasey Butt氏の推定式についてですが、専用のページもありますので是非ブックマークなどしていただけたらと思います。
それでは今回はこれで失礼します。
ありがとうございました!