上半身を鍛える種目として主に背中を鍛えるトレーニングと言えば「懸垂」です!

今回は、 “懸垂の全てが分かる説明書” と題して懸垂について徹底解剖していきたいと思います!

懸垂で鍛えられる筋肉から正しいフォームまで本記事でマルっとおさえてしまいましょう!

本記事は以下のようなことを考えている人向けです。

  • 懸垂とは何か知りたい!
  • プルアップとチンアップの違いって何?
  • ラットプルダウンとの違いは?
  • 懸垂で鍛えられる筋肉は?
  • 懸垂運動における筋肉の動き方は?
  • 懸垂のフォームが知りたい!
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自重系最強種目:懸垂

懸垂とは、一般的に背中を鍛える目的で行われるトレーニングの1つです。

自分の体重がそのまま負荷になるので、自重系トレーニングとしては「逆立ち腕立て伏せ」と並んで最高強度の種目になります。

また、多関節種目で上半身の主要な筋肉を動員するため、とても優秀なトレーニング種目です。

手幅やグリップの向き、上半身の角度によって重点的に鍛えられる部位が変わるので、1つ1つマスターしてパーフェクトな背中を手に入れましょう!

懸垂ってまず何?もっと詳しく!

懸垂と言われて皆さんが思いつくのはどんな運動でしょう?

“棒にぶら下がって身体を引き上げる運動?”

その通りです!

懸垂とは文字通り高いところに「懸かり」、真っすぐ「垂れ下がっている」状態のことです。

そして、一般的に懸垂と言われたらそこから腕を屈伸させて身体を上げ下げする運動のことを指します。

懸垂は英語ではチンニング、またはプルアップ・チンアップと呼ばれますが、プル(Pull=引く)してアップ(Up=上げる)・チン(Chin=あご)をアップ(Up=上げる)と、日本語同様に状態そのものが名前となっています。

懸垂は多関節種目(コンパウンド種目)

懸垂は、複数の筋肉と関節が動作に関わる多関節種目に分類されます。

懸垂では腕を屈伸、つまり肘関節を屈曲・伸展させることで身体を上げ下げします。

この他に肩関節の屈伸や内転、肩甲骨の動きも加わり動作が完結します。

つまり、腕と背中の筋肉を使う種目になります。

また、直接動作には関係しないものの姿勢保持のために腹筋や脊柱起立筋といった体幹の筋肉も使われるため、上半身のほぼ全ての筋肉を同時に鍛えることが出来ます。

多関節種目では複数の筋肉が動員されるためより強い力を発揮できます。

“より強い力を発揮できる” とは、言い換えると “より高負荷の刺激を筋肉に与えることが出来る” という意味です。

そして、 “より高負荷の刺激を筋肉に与えることが出来る” ということは、 “より筋肉を発達させやすい” ということになります。

筋トレでは多関節種目で身体の連動性や筋力を鍛え、単関節種目で個別の筋肉を鍛えていくというのが一般的です。

ですから上半身を鍛えるといった場合には懸垂はとても有効なトレーニングであると言えます。

大きく分けて2つある “ 懸垂 ”

懸垂は、手幅や上体の角度などを変えることによって使われる筋肉に違いが出ます。

腕立て伏せやスクワットでも手幅やスタンスが変われば鍛えられる部位は少しずつ変化していくので似ていると言えるでしょう。

しかし、懸垂ではグリップの向き(順手で握るか逆手で握るか)によってフォームや使われる筋肉が大きく変わるのが特徴です。

先に触れたように懸垂は英語でチンニングやプルアップ・チンアップと言います。

グリップの向きによって特にプルアップを順手懸垂、チンアップを逆手懸垂と大まかに区別することが多いそうです。

以下でもこれに倣って説明していきたいと思います。

プルアップ(順手懸垂)

まずは順手と言って手の甲を上向きに握る懸垂、プルアップについてです。

プルアップは順手で行う懸垂ということで、オーバーハンドグリップチンニングとも言います。

一般的に背中を鍛える種目として選択される懸垂はこのプルアップを指します。

順手で行うこのプルアップでは、手の甲が上を向いたまま、つまり前腕が回内した状態で肘関節が屈曲するため腕の筋肉として上腕筋・腕橈骨筋が優位に使われます。

また、手幅を肩幅より広めにとることで肩関節の伸展動作が行いやすくなり、三角筋後部・広背筋・僧帽筋により意識を向けやすくなります。

特に使う筋肉

腕橈骨筋・上腕筋・広背筋・僧帽筋中部

実は使う筋肉

三角筋後部・上腕三頭筋長頭

チンアップ(逆手懸垂)

次に逆手と言って手の甲を下向きに握る懸垂、チンアップについてです。

チンアップは逆手で行う懸垂ということで、アンダーグリップチンニングとも言います。

逆手で行うこのチンアップでは、手の甲が下を向いたまま肘関節が屈曲するため腕の筋肉として上腕筋・上腕二頭筋が優位に使われます。

動きとしてはアームカールの動作に肘の伸展動作が加わったようなイメージです。

手幅が肩幅より狭くなるとより腕の筋肉を意識して使うことが出来ます。

背中を特に鍛えていないという方でも身体を引き上げることが出来やすいのはこちらのチンアップかと思います。

特に使う筋肉

上腕筋・上腕二頭筋

実は使う筋肉

大胸筋・小胸筋

【余談】ジムにあるマシン、 “ラットプルダウン” とは?

余談なんですけど、トレーニングジムでラットプルダウンという背中を鍛えるマシンが置いていないところを見たことありますか?

ラットプルダウンは、懸垂と似たような動きが出来る背中を鍛えるマシンです。

色々なバーやグリップがあり、背中を鍛える種目としてトレーニーには欠かせないマシンです。

よくラットプルダウンをした方が良いのか懸垂をした方が良いのかという質問が出ますが、どちらが適しているかは自分の筋力レベルや目的によって異なります。

懸垂とラットプルダウンの大きな違いは2つ

懸垂とラットプルダウンは上体の動かし方についてはほぼ同じと言っても良いでしょう。

懸垂はプル “アップ” の名の通り身体を上に持ち上げるのに対し、ラットプル “ダウン” とはバー・グリップを下に引き下げるという意味です。

バーに対して身体を持ちあげるのか、そのバーを引き下げるのかという点では違うと言えますが、実際のところ働く筋肉の作用についてはほぼ同じです。

では違いは何かと言うと、

  • 懸垂はより多くの筋肉を使う!
  • ラットプルダウンでは負荷もグリップも簡単に変えることが出来る!

大きく分けてこの2点で「懸垂」と「ラットプルダウン」は異なります!

懸垂はより多くの筋肉を使う!

懸垂は身体全体・体重全てが負荷となり棒にぶら下がっている状態で行います。

棒を握っている手だけが固定されているということは身体がフリーの状態ということなので、懸垂の上下運動で生じる揺れは自分で制御しなければなりません。

その分、動作自体に関わる筋肉ではない体幹や下半身の筋肉なども使われることとなります。

一方で、ラットプルダウンでは下半身が固定されている場合が多いため身体のブレを修正するために他の筋肉を動員させる必要がありません。

動員される筋肉の種類が少ないと考えるとデメリットにも思えますが、狙った筋肉・対象の筋肉を意識しやすくなる点はメリットであるとも言えます。

ラットプルダウンでは負荷もグリップも簡単に変えることが出来る!

ラットプルダウンマシンでは細かくウェイトを変えることが出来るため、自分の筋力レベルに合った負荷で背中を鍛えることが出来ます。

また、グリップの種類も豊富にあるため自分の目的や骨格に合った動作を簡単に選択することが出来ます。

一方で、懸垂では自分の体重を扱うため基本的には負荷を変化させることが出来ません。

ですので、トレーニングを始めたばかりでまだ筋力の弱い方や体重が重い人にとってはかなり強度の高い種目になってしまいます。

バンドを使って補助をしたり加重ベルトなどを使うことで負荷を調節することもできますが、ラットプルダウンと比べてしまうと手間です。

最近ではアシステッドプルアップマシンという懸垂を補助するマシンが置いてあるジムも珍しくありません。

しかし、先に述べた体幹や下半身の使用に関しては懸垂に劣ります。

また、グリップも鉄棒や懸垂スタンド、ラックによって制限されているためバリエーションを持たせることが難しいです。

結論:どちらも一長一短だが懸垂を出来るようにするべき!

違いを考えてみると汎用性・利便性的にはラットプルダウンに軍配が上がるようにも思えますが、トレーニングの質に関して言えば懸垂の方が勝ると私は考えています。

懸垂が楽々と出来るのであればラットプルダウンマシンで体重よりも重い負荷でトレーニングしても良いかと思いますが、まずは懸垂を出来るようにするべきです。

動員する筋肉が増えるというのは多関節種目ではとても重要なポイントです。

身体の連動性を高めるだけではなく、自然な動きで懸垂の動作を行うことで自分がどの筋肉を優位に使っているか把握することも可能です。

逆を言えば弱い部位を探ることも出来るので他のトレーニング種目も組みやすくなります。

ラットプルダウンが向いている人

トレーニングを始めたての人や体重が重い人で懸垂が出来ない人、また懸垂を1回もこなすことが出来ない・数回しかできないしフォームが崩れてしまうという場合、まずはラットプルダウンで基礎を固めた方が良いかと思います。

ラットプルダウンの軽い重量から慣れていき、背中の筋肉を使う意識を養っていくことが第一歩です。

その他にも大円筋や僧帽筋の中部下部といった特定の鍛えたい筋肉が明確である場合はラットプルダウンを選択しても良いでしょう。

しかしこれも懸垂が出来ているからこそ自覚できているということを忘れてはいけません。

迷ったらラットプルダウンから!

もしあなたがラットプルダウンも懸垂もできる場所でトレーニングを始めるということであれば、まずはラットプルダウンから始めてみてください。

そして自分の体重のウェイトを扱えるようになったら懸垂にもチャレンジしてみると良いでしょう。

そこから徐々に懸垂の回数を増やすことが出来るようにラットプルダウンを補助的に使って向上していくのがベストだと思います。

懸垂で鍛える主な筋肉

腕:上腕二頭筋・上腕筋

懸垂は背中を鍛える種目として扱われますが、実際のところ腕の筋肉の重要度がかなり高いです。いわゆる “力こぶ” と呼ばれる「上腕二頭筋」は肩関節と肘関節を跨いでいるため、肘関節が屈曲し且つ肩関節が屈曲位にある状態で最大収縮します。前腕の屈曲には「上腕筋」が主に働きますが、筋肉の配置的に言うと二頭筋の下に位置するため見えづらい筋肉となっています。懸垂では動作の初めに動員されるのが腕の筋肉となっており、身体を引き上げた位置で収縮しています。

上腕二頭筋・上腕筋は肘関節の屈曲、つまり腕を曲げる際に使われます。上腕二頭筋はその他にも肩関節の屈曲を補助したり掌を上に向ける動きである前腕の回外にも関与しています。

背中:広背筋・(大円筋)・僧帽筋

懸垂で鍛えたい筋肉と言えばやはり背中です。しかし背中と言っても大小様々な筋肉が存在しておりその作用も様々です。

懸垂で主に対象とする代表的な筋肉はまず「広背筋」です。広背筋は腰椎や肋骨から上腕骨にかけて伸びている筋肉で、背中の大部分を占める筋肉です。しっかりと鍛えることで逆三角形の体形を作ることが出来ます。そして広背筋の動作を補助するように使われる筋肉が「大円筋」です。大円筋は腕を身体に引き付ける動作で使われるので動作の過程で広背筋と共に使われます。

もう1つ懸垂で対象とする代表的な筋肉に「僧帽筋」というものもあります。僧帽筋はその繊維の方向と作用によって上・中・下部に分けられますが懸垂では主に中部と下部を鍛えることが出来ます。僧帽筋も広背筋と同じくらい大きな筋肉で姿勢を保つ上でも大切な筋肉です。

広背筋・大円筋は主に肩関節の伸展、つまり腕を身体の後ろ方向に引く際に使われます。懸垂の動作としては特に広背筋の肩関節を内転させる作用も大切になっていきます。

僧帽筋は肩甲骨の内転や下制・下方回旋、つまり肩甲骨を寄せたり肩を落としたり胸を張る際に使われます。

三角筋後部

見落とされがちですが懸垂の動作では三角筋の後部も使われます。なぜなら肩関節の伸展動作が行われるからです。三角筋の後部は腕が身体より後ろ方向に伸びると動員され始めます。肩幅や骨格の違いで手幅や脇の開き具合が三角筋後部の使用率に関係してきます。

三角筋の後部は肩関節の伸展・内転、そして外旋といった作用を持ちます、懸垂では特に肩関節の伸展で補助的に使われます。

懸垂の基本的なフォーム

懸垂は、その他のトレーニング同様正しいフォームで行わなければ狙いたい筋肉をしっかり刺激することが出来ない種目です。

しかし、多関節種目でありそれ自体が高負荷なトレーニングなので、ある程度雑にこなしてもどこかの筋肉にはしっかりと刺激が入ります。

慣れないうちはその他の背中の種目を補助的に利用してがむしゃらにやってみるのもありだと思います!

本項では懸垂に慣れてきた人・しっかりとした懸垂を行いたいと思う人に向けて基本的なフォームの解説をしていきます。

別記事でも触れていますが、正しいフォームとは “その種目で使用される筋肉のうち、特に対象とした筋肉がより使われるフォーム” だと思っています。

基本的なフォームを知って、自分のフォームがどこの筋肉をより使っているのか “気づき” を得てもらえればと思います!

プルアップ(順手懸垂)のフォーム

順手で行う懸垂は最も一般的なバリエーションです。

オーバーハンドグリップチンニングとも呼ばれるこの種目は懸垂のバリエーションの中でも特に広背筋の動員率が高い種目です。

  • STEP1
    ポジションを作る
    肩幅より少し広めに手幅をとりバーにぶら下がる。
  • STEP2
    開始姿勢をとる
    肩甲骨で上体を引き上げるようにして胸を張る。
  • STEP3
    身体を引き上げる
    バーを身体に引き付けてくるようにして身体を上げていく。
  • STEP4
    身体を下ろす
    身体が通ってきた位置を追うように降ろしていく。
  • STEP5
    反復
    STEP2-4を繰り返す。

プルアップで広背筋を意識しやすくさせるポイント

プルアップで広背筋を重点的に鍛えたい場合、抑えておきたいポイントがいくつかあります。

多関節種目の良いところである多くの筋肉を動員するという点に制限を掛けることです。

一緒に使われる背中の他の筋肉や腕の筋肉の使用を最小限に抑えることでより広背筋に意識を向けやすくすることが出来ます。

 

プルアップで広背筋を意識しやすくさせるポイント

肩甲骨を寄せて落とす!

→肩関節の伸展動作にフォーカスするため!

肘は“曲げる”のではなく“曲がる”!

→使いやすい腕の筋肉のことを忘れるため

 

・肩甲骨を寄せて落とす!

トレーニングを行う際に対象の筋肉により意識を向けるためには、他の筋肉の動きを最小限に抑えるのが効果的です。

懸垂の動作における肩関節の伸展や肩甲骨の下制・内転では多くの筋肉が動員されるため、より強い筋肉や使い慣れている筋肉が使われやすくなってしまいます。

肩甲骨を寄せて落とすというのはあらかじめ内転させて下制させておくということです。

こうして肩甲骨周りの筋肉を固めておくことで、肩関節の伸展動作に集中しやすい状態を作っておくとより広背筋を意識しやすくなります。

・肘は“曲げる”のではなく“曲がる”!

懸垂の動作において肘は“曲げる”のではなく“曲がる”ものだというイメージを持ってみてください。

先に説明した通り、懸垂では初動で腕の筋肉が多く使われます。

身体を引き上げるという感覚が強すぎるとどうしても使い慣れている筋肉である腕の力を使って上げてしまいがちです。

肩甲骨を寄せて落としたら、上腕を後ろに引き付けるようにして身体を引き上げてみてください。

バーの握りこみも腕の筋肉の使用率に関わっているので、リストストラップやパワーグリップを使うことで抑えることもできます。

ただ、腕の疲労が原因で懸垂を多くこなせないという場合は腕が弱いという可能性も考えられますので、一緒に鍛えることが出来るとポジティブに考えても良いと思います!

フォームによる筋肉の優位性

プルアップでは他の種目同様フォームによって使用される筋肉・使用されやすい筋肉が変わっていきます。どういったフォームでどの筋肉が多く使われているかは自分の体感・弱い部位によって変わると思うので以下のポイントを覚えておいて色々なフォームを試してみるのも良いと思います。

・上体の角度によって変わる

懸垂の始まる姿勢は地面に対して垂直、手先から足まで真っ直ぐになっています。

真っすぐ引き上げた場合は肩の伸展よりも内転の動きが強くなります。

肩関節の内転では広背筋や大円筋の他に上腕三頭筋の長頭も使われます。

一方、胸を張った状態では肩の伸展動作が強くなるので上腕が身体の後ろ方向に伸びていきます。

この状態では三角筋の後部が使われやすくなります。

 

上体の角度≒広背筋の収縮位置!?

停止部がどこに向かって収縮しているか?

→”正しいフォーム?”よりもどんな筋肉の使い方をしているのかを意識する!

筋肉が収縮しながら力を発揮する際、その筋肉は付着している部分同士が近づいていきます。

広背筋は背骨当たりの広い範囲から伸びて上腕骨に付いているので、停止部分である上腕がどこの起始部分に近づいていくかでより使われる部分に若干の違いが生じると考えられます。

以下の画像が、上の2枚を比べて広背筋がどのように収縮しているのかイメージしやすい様にまとめてみたものです。

「平面の動き」・「立体の動き」と形容した通り、横方向に強く収縮している場合と広い範囲で収縮している場合のイメージがつきやすいかなと思います。

この比較は、決してどちらがいいとかではなく、より鍛えたい部位を明確にするため・鍛えている部位をイメージしやすくするために簡易的に筋繊維の方向を視覚化してみたものです。

既に述べたように、慣れるまではここまで意識できないと思いますし、がむしゃらにやるのも手です。

大切なのは、自分の動きがどのようになっているのか理解しようとする姿勢だと思います!

【補足】最適な手幅とは?

順手で懸垂を行う場合、多くの人は肩幅か肩幅より少し広めの手幅とすると良いでしょう。

手幅が狭すぎると腕橈骨筋の負荷が高くなり、広すぎると上下の動きが制限されて非効率になるばかりかケガのリスクまで出てきます。

腕を上にあげた状態から肘を脇に引き付けるようにして下ろしてみてください。

このときの手幅が無理なく行える位置だと思います。

実際筆者も写真にある懸垂スタンドの手幅は少し広いかなと感じています。

懸垂スタンドを購入の際、特に小柄な人や女性の場合ではグリップがU字型になっているタイプよりもしっかりとバーになっているタイプの方がオススメです!

チンアップ(逆手懸垂)のフォーム

逆手で行う懸垂であるチンアップは子供の頃よく鉄棒でやったような懸垂ではないかと思います。

アンダーグリップチンニングとも呼ばれるこの種目は懸垂のバリエーションの中でも特に腕の筋肉の動員率が高い種目です。

  • STEP1
    ポジションを作る
    掌を上にして無理なく腕をまっすぐ上に伸ばした時の手幅(肩幅程度)でバーにぶら下がる。
  • STEP2
    身体を引き上げる
    腕に力こぶを作るようにして握りこんだ手を肩に近づけるようなイメージで身体を上げていく。
  • STEP3
    身体を下ろす
    身体が通ってきた位置を追うように降ろしていく。
  • STEP4
    反復
    STEP2-3を繰り返す。

掌を上にして無理なく腕をまっすぐ上に伸ばした時の手幅(肩幅程度)でバーにぶら下がる。

腕に力こぶを作るようにして握りこんだ手を肩に近づけるようなイメージで身体を上げていく。

身体が通ってきた位置を追うように降ろしていく。

繰り返す。

チンアップで腕を太くさせるポイント

懸垂で上腕に効いてしまうという悩みを持つ人は多くいます。

が!逆に考えてみてください!

「腕が弱い部分」・「腕がしっかり鍛えられている」と!

逆手で行う懸垂は特に腕の筋肉に刺激を与えることが出来るので腕のトレーニングとしても考えてみてください!

チンアップで腕を太くさせるポイント

初動はしっかり握りこんで行う!

→腕の力で上げるということを意識するため!

肘を支点に腕を伸ばしながら下ろしていく!

→腕にしっかりとストレッチ刺激を与えるため!

・初動はしっかり握りこんで行う

チンアップの腕の動きはアームカールと似ていると言いましたが、アームカール同様に手でしっかりとバーを握りこむことで腕に力が入りやすくなります。

身体が持ち上がっていくにつれて背中周りの筋肉も使われていくので初動が大切です。

上の画像で示しているように、チンアップの初動というのは腕が力を発揮しにくい角度になっています。

肘が90°に近づくにつれて腕にかかる負荷は強くなりますが、その分腕の出力も上がり高負荷で刺激を与えることが出来ている状態となります。

しかし、上腕が地面に対して水平になった位置からは身体を引き上げるために腕の伸展動作を行うようになってしまいます。

特に上腕二頭筋の最大収縮は腕が屈曲、つまり身体より前方向に出ている時に起きますので、チンアップで腕の収縮を意識することは難しいです。

腕にしっかりと高負荷な刺激を与えるためには動作で一番負荷のかかる点である初動と肘が90°に近づく局面を大切にしていく必要があります。

・肘を支点に腕を伸ばしながら下ろしていく

懸垂において腕の筋肉は収縮時、つまり身体を持ちあげる際により多く使われます。

言い換えると、身体を下ろす際には持ち上げるときほど使われていないということです。

肘を固定して行うプリ―チャーカールの要領で肘を支点に腕を伸ばしていくことで筋肥大に重要とされるストレッチ刺激が腕に入りやすくなります。

逆に、肩関節を支点に自分から見て肘が上に上がってくるように身体を下ろすと背中にストレッチがかかります。

鍛えたい箇所、特に戻す場合ではストレッチ刺激を与えたい箇所をより明確にすることでトレーニングの質は向上します!

フォームによる筋肉の優位性

・上体が丸まっているか反るか

チンアップも上体をどう使うかによって筋肉の優位性が変わります。

本項で説明したフォームでは腕を特にターゲットとしていますが、その場合では上体が丸まるようなフォームになります。

これは胸を張らずに手を握りこんでいるためで、身体の前面が固まります。

しかし、チンアップのように逆手で懸垂を行う場合でも背中を上手く使うことが出来ます。

プルアップの場合と同じように胸を張ってバーを引き付けるように身体を引き上げていくと背中の筋肉をより使うことが出来ます。

この場合では腕が身体の後ろに引かれる、つまり肩関節の伸展が起こっているためです。

プルアップと違い、腕橈骨筋よりも上腕二頭筋の方が腕の筋肉の動員率が高いので前腕の力に自信が無くても懸垂で背中を狙えるフォームとなっています。

【補足】最適な手幅とは?

チンアップでも手幅によって腕の筋肉の優位性が変化します。

しかし、スタート位置とフィニッシュ位置で手首・肘・肩関節に無理なテンションがかからない手幅・手の向きで行うことがまず大切です。

とは言っても、鉄棒など真っ直ぐなバーで懸垂を行う場合では手の向きは変えられませんので、バーベルでアームカール行う時をイメージすると分かりやすいです。

手幅を広げすぎてしまうと前腕を更に回外させなくてはいけないので肘に負担がかかってしまい、逆に狭めすぎてしまうと身体を引き上げた際に手首に負担がかかってしまいます。

手幅は腕を引いてきたフィニッシュ位置で自分の肘が無理なく収まる位置が良いでしょう。

プルアップの場合と同様に、掌を自分に向けて腕を上げ自然と下に引き下ろしてきた時の手幅が最適だと思います。

懸垂の効果を上げるための3つのコツ

懸垂は、フォームや鍛えたい部位を明確にしていなければ “出来てしまう” こともある種目です。

しかし、筋力がついてきて慣れてきたらただ身体を引き上げるだけの懸垂ではなくトレーニングとしての懸垂が出来るように練習していきましょう!

そのために出来る簡単なコツをいくつか紹介していきたいと思います!

その1:回数より自分の動きを意識

始めの頃は身体を引き上げるので精いっぱいで、回数を増やすことに精一杯になってしまいがちです。

まずはがむしゃらにでも身体が動くようにするのはとてもいいことだと思います。

ただ、その中で自分の動き・フォームを意識するセットも組み込んでみてください。

自分がどこの筋肉を使って懸垂をしているのか、はっきりと分からずとも意識してみることで強度も成長度合いも一気に変わります!

その2:動画を撮ってフォームを確認

もし自分のフォームが気になる場合は動画を撮ってみてください。

動画に撮ってみて自分の身体が実際にどのように動いているのか確認するとフォーム修正がしやすくなりますし、他の人とも比較しやすいです。

特に背中の動きというのは自分で簡単に見ることが出来ないので、懸垂をしている際に背中が実際にどう動いているのか見てみると楽しいです!

その3:狙いたい筋肉を定める

ここまで説明してきたように懸垂は色々な筋肉が鍛えられるだけでなく、フォームやグリップの違いでより使われる筋肉が微妙に変わっていきます。

自分がどこの筋肉を鍛えたいか、自分の懸垂のフォームではどこの筋肉がより多く使われているか意識してみてください。

ここで大切なのは、すぐに疲れてしまう部位はより多く使われている筋肉ともあなたの弱い部位であるとも考えられるということです。

狙いたい筋肉を明確にして、総合的に判断した自分に合うフォームで懸垂を行ってみましょう!

懸垂=最高最強の自重トレーニング

懸垂はトレーニングの中でもとても高強度な種目となります。

その分得られる効果は絶大で、身体を鍛えている人ならボディメイキング目的でもスポーツ選手でも出来るようになっておきたい種目です。

「懸垂」と聞くと鉄棒で行う単純なトレーニングをイメージする方も多いかもしれませんが、本記事で解説してきたようにとても奥の深い種目です!

”こんな大変そうな種目出来ないよ…” という方は是非「懸垂を一回できるようになる!」という目標を掲げてトレーニングをしてみてはどうですか!?

本記事と共に、最高で最強なトレーニング種目である懸垂をマスターしてみてください!

それでは今回はこれで失礼します。

ありがとうございました!

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